今回は猫ちゃんの消化管寄生虫の症例を紹介します。
元々外にいた4ヶ月齢の子猫です。
家に帰ったらお尻から「何か白いひも」が出ているということで来院されました。
問診では、家にあった紐などは無くなっていないということでした。
下の写真はその時のものです。
写真の色は変えていますが、白いひもみたいなものがたくさん出ています。
ゆっくり引っ張ってみると、抵抗などはなく、どこかで引っ掛かっている感じではありませんでした。
よくみると節があり、寄生虫が疑われました。抵抗がないことを確認して引き抜ける部分は引き抜きましたが、
途中で切れて、残ったものはお尻の中に戻ってしまいました。
下痢が続いて糞便検査をすると寄生虫の卵が見えるという症例はたまにいますが、
今回のようにお尻から虫体がたくさん出ている症例は獣医師になって初めて見ました!
この虫はマンソン裂頭条虫という寄生虫で、この虫の幼虫はヘビやカエルに寄生しています。
寄生しているヘビやカエルを猫が食べることによって猫に寄生して幼虫は小腸で成虫になります。
この寄生虫は人にも稀に感染することがありますが、感染源は猫ではなくて、カエルやヘビなどを捕まえて生で食べることにより発生するみたいです。
現在この子は治療中です。
まだまだ外で生まれる猫ちゃんは多いですし、保護猫を飼う方もたくさんいます。
外にいる猫はケンカも多いし、色々な野生生物を食べています。
猫のエイズや白血病などのウイルス感染やノミ、マダニ、消化管寄生虫に感染するリスクがとても高いです。
今回の症例を見てワクチン、猫エイズ、白血病の感染の確認、寄生虫の駆虫は、とても重要だと思いました。
ちなみにこの子は、飼育を始めた時からエイズ、白血病の感染の確認、ワクチンの接種、寄生虫の駆虫は積極的にやっていただいています。