今回は、眼の瞬膜にできた悪性腫瘍の猫ちゃんを紹介します。
元気や食欲はあるが、左眼が腫れているということで来院しました。
左眼の瞬膜が腫れていましたが、一般身体検査で特に大きな異常は認められませんでした。
1週間ほど対症療法を実施しましたが改善しないため、腫れている場所に注射の針を刺して細胞を確認しました。
細胞を見る限りは悪性腫瘍(特にリンパ腫)が疑われました。
瞬膜にできる腫瘍は、稀であるため手術で切除し、確定診断をつけることにしました。
病理検査の結果
「リンパ腫」と診断されました。
術前の検査では、明らかに他の場所にリンパ腫が転移している所見は認められませんでした。
猫の瞬膜のリンパ腫に対しての予後や治療成績に対するしっかりとした論文はありませんが、再発や転移は報告されています。
この子は術前の検査では明らかな転移はありませんでしたが、今後再発や転移が出てくる可能性は十分あり得ると考えられます。
今後、注意深く診察していく必要があると思われました。
今回の子は治療のためというよりは、診断をつけるために手術を実施しました。
手術をしないで確定診断をつけられれば良いですが、腫瘍の場合は、手術
しないと確定診断をつけることができないこともたくさんあります。
以前からあったできものが突然大きくなった、前はなかったのに新しくできものができたなど
心配なことがありましたら、一度診察に来ていただければと思います。
状況や状態に応じて検査や治療方針を決めさせていただきたいと思います。